ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ

【ヨガ解剖学】内転筋(1) バランスポーズを安定させる秘訣!ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナを解剖する


長岡・小千谷・柏崎のヨガ教室
&RYT200資格スクール yogatha(ヨガッサ)
ヨガインストラクターのミーラ美樹です。
 @yogathajp

 

今日は生徒さんからいただいた「内もも」に関する質問・感想にお答えしつつ、ヨガ解剖学に絡めてお話します。

 

ヨガのアーサナには「バランス」に分類されるポーズがいくつかあります。もっともポピュラーなのは、片脚で立つ「ヴィリクシャーサナ(木のポーズ)」。他アシュタンガヨガですと「ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ」「アルダバッダ・パドモッタナーサナ」ですね。

 

これらバランス系ポーズは体軸の安定感が肝です。たとえばあなたが苦手であれば何が原因なのか。ざっくり言うと

 

 

脚が弱い

 

 

そのまんまですね。
ミーラ美樹の生徒さんには70代~80代もいらっしゃいますが、総じて弱いんです。ゆえに片脚を床から上げて3秒キープするのも大変なんですよ。

 

ではまず、生徒さんからのメールを手掛かりに解説していきましょう。

 

 

レッスン後、内ももに効いているのがわかった!

 

生徒Hさん メール

ミキ先生

いつもありがとうございます。
前回は足の付け根内側ぐるり(なんという名前かわからないので)の部分にまさに効きました。レッスンが終わって家に帰り、車から降りるとき、あっ効いてるとよくわかりました。

ここがふにゃふにゃになっているので、お尻が扁平になり横広がりしているのです。椅子に長時間座ったあとは特に横広がりが酷くなり、脚の内側の付け根周りに力が入りにくくなるのです。

これからここをもう少し鍛えなくてはと思いました。

 

 

 

ミーラ美樹 回答

こんにちは。メールありがとうございます。早速ですが回答を。

まず、足の内側ぐるりは内転筋ですね。足をクロスさせたり、閉じたりする筋肉で、日常的な例だと脚を揃えて椅子に座る際に使います。昔の女性は着物を着ていたので自然と使っていたように思いますが、現代人は洋装となり脚を組んで座れるため殆どの方が使えていません。サボってるんですね。

ヨガのアーサナでいえば主に下肢の関節を中立にするために使います。例えばタダーサナ(ただ立ってるだけ)で内転筋をサボっていると骨盤底筋をサポートできず、骨盤が緩み安定しません。加えて股関節・膝関節が外に開きます(外旋)。あまりに弱るとシニア世代に見られるO脚・ガニ股体型になります。

 

 

 

 

 

内転筋とは?

 

Hさんがレッスン後に「効いてる」と感じたのは、内転筋であることがわかりました。ここはズバリ!女性が気になる「内もも」ですね。プヨプヨなお肉がつきやすく、また骨盤の歪みにも影響があります。

では早速、内転筋の解剖をチェックしましょう。

 

内転筋の解剖

内転筋の位置はとてもわかりやすいです。「内もも」ですね。

 

 

内転筋

 

 

しかし一口に内転筋といっても、単一の筋肉ではありません。

大内転筋
短内転筋
長内転筋
恥骨筋
薄筋

の総称を内転筋(群)と呼びます。

 

 

 

内転筋の起始・停止

赤い筋肉部を見てください。

 

 

内転筋

 

 

【起始】恥骨・坐骨

【停止】大腿骨(薄筋のみ脛骨)

 

内転筋は骨盤の前面「恥骨」と背面にある「坐骨」から始まります。そしていずれも太ももの骨の内側まで付着しています。つまり、

 

前後から骨盤を支えているんですね。

内転筋を使うと、骨盤の底で内臓を支える骨盤底筋(群)の働きをもサポートすることになります。

 

すると・・・

 

内転筋→骨盤底筋への連結により、骨盤が整います。
骨盤が整うと、内臓の位置も整います。
内臓の位置が整えば、下腹ぽっこりが解消されます。

 

以上のように、女性が大好きなからくりが成立する重要な筋肉なんですね。

 

 

 

内転筋の主な作用

股関節内転・内旋

股関節屈曲(一部伸展)

 

と様々な作用がありますが、内転筋というくらいなので主に股関節の内転です。しかし内転させる筋肉というよりは、歩行時などに股関節が外にブレないようにするため、お尻に拮抗して働くイメージが強いですね。つまり、

 

スタビライザー(安定化筋)です。

 

 

そんな内転筋。
はじめに述べたとおりヨガのパフォーマンスとも密接な関係があります。次で見ていきましょう。

 

 

 

 

 

内転筋に無意識だとグラグラしちゃう

 

ここでヨガのバランスポーズを用いて説明しましょう。

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナB 解剖

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ

脊柱は中立
軸脚:股関節は中立伸展、膝は伸展(ロックしない)
上げた脚:股関節は屈曲・外転・外旋、膝は伸展

 

解剖学の本を見ると、内転筋に関する特筆事項はありませんでした。でも本がすべてではありません!実践する際に意識すべきは、赤い矢印と青のライン・丸です。

 

左わき腹

まず、左わき腹の赤矢印ですが、この腹斜筋が伸びないと足が上がりにくいです。試しに左わき腹を収縮するように使うとバランスを失ってしまうことがわかります。

 

 

上げた脚

股関節の外旋を意識し、膝が天井に向くようにします。

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ

こちらは上げた脚側の股関節外旋外転が甘いです。
ビギナーはバッダコナーサナなどで外旋作用を深めましょう。

 

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ

上げた脚は身体の真横にアラインするのが理想的。

 

 

しかしここで注意。
軸脚側の股関節が上げた脚側の股関節につられるようであれば、むしろ外旋を緩めてください。

何を言いたいかというと、このアーサナにおいて、上げた脚は外旋・外転・屈曲。軸脚は中立伸展です。つまり非対称の股関節の使い方をしているんですね。ゆえにがむしゃらに脚を上げよう、開こうとすれば、股関節のアライメントが崩れて、バランスを失います。

 

 

軸脚

内側に向かう赤い矢印で内転筋の意識方向を示しました。実感としては、内ももを内側に巻き込むというよりは、外ももを背面から内側に巻き込むような感覚です。

 

 

母指球

青い●で示した母指球は内転筋を使うための土台です。母指球が踏めてない、あるいはつま先が外を向いている(股関節が外旋している)場合、ハムストリングの過緊張が起き、内転筋を発揮できなくなります。

男性はガニ股などで股関節が外旋しやすいので、おのずと母指球が踏みにくく、バランスポーズを苦手とする方が多いです。

 

 

 

軸脚は内転してないのになぜ重要なの?

内転筋の主な作用は股関節の内転・内旋でした。わかりやすい例は下記画像ですね。

 

 

内転筋

 

 

某漫画でリヴァイがエレンの顔に蹴りを入れる名シーン。蹴られたエレンの顔と蹴ったリヴァイの脚が逆方向なので、回旋が入った強い内転キックで振り抜いたはずw

 

で、ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナBの軸脚は中立伸展。上画像のように脚がクロスしていません。ではなぜ内転筋?とお思いでしょうか。

繰り返しますが、

 

内転筋はスタビライザー(安定化筋)です。

ゆえに、体軸を安定させるために「使っている」という意識が必要なんです。

 

バランスポーズが苦手な人は、

① 足のつま先が外を向かないようまっすぐに立ち

② 母指球でマットを捉えて

③ 太ももを内側に(脚の付け根に向かって)グイッと巻き込むようなイメージでキープ

 以上を心がけて練習しましょう。

 

 

 

 

 

おまけ

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナBはとにかく脚を上げればいいってもんじゃありません。新体操のように顔の近くに寄せることも可能でしょう。しかし・・・

 

 

ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ

 

 

無理やり高く上げると、このように軸がブレて上げた脚側の股関節の外転・外旋が甘くなります。脚が高くあがらなくても、膝が曲がっても、

 

軸足側の腸骨稜をしっかりフロントに押し出して股関節を中立にする。

この方が、アーサナが意図しているものを体現していることになります。

 

このようにヨガを実践する上でアライメントというのは理に適っているんですね。間違った使い方で練習を重ねて怪我を誘発しないよう、特にビギナークラスではしつこくあーだこーだ言います。よろしく!

 

 

 

 

今回はここまで。次回はさらに「セートゥ・バンダーサナ」と「ウールドヴァ・ダヌラーサナ」を用いて内転筋に迫ってみます。

om shanti,