セートゥ・バンダーサナ

【ヨガ解剖学】内転筋(2) O脚矯正とブリッジができない人はセツバンダーサナを練習すべし


長岡・小千谷・柏崎のヨガ教室
&RYT200資格スクール yogatha(ヨガッサ)
ヨガインストラクターのミーラ美樹です。
 @yogathajp

 

内転筋(1) バランスポーズを安定させる秘訣!
ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ
を解剖する

に続いて内転筋(2)です。

引き続き生徒さんからのメールの質問・感想にお答えしつつ、ヨガ解剖学に絡めてお話します。

 

 

内転筋は骨盤を支える
縁の下の力持ち

 

生徒Hさん メール

ミキ先生

昨日レッスン後は座っていたりマットの入った重いバッグを持っているので気がつきませんでしたが、帰りにスーパーマーケットの中を歩きまわっていたら、もう各段に身体が違っていました。

内転筋を鍛えると骨盤が立つのですね!
内転筋が弱っていると、骨盤は下方に沈んで前かがみになるんですね。

内転筋が働くと、なんと、腰で歩いているのです。
重心も頭頂と腰が垂直になっていて腰の真上に頭頂が乗って、腰から引っ張られるように足が前に出て、それでいてお腹を出っ張らせているわけではない姿勢で歩けていることに感動しました。

普段いかに腰が落ちていて腰を曲げて前かがみに歩いているのかが、よくわかりました。
老化は内転筋からですね。

 

 

 

ミーラ美樹 分析

内転筋を使ったことにより、骨盤を下からしっかり起こす感覚を味わえたようですね。
ここで起こすとは真っすぐにする(中立)です。

ちなみに、骨盤は女性においては前傾している方が多く、男性においては後傾している方が多いように見受けられます。
また、加齢とともに後傾する傾向にあります。

さらに、レッスン中にマツヤーサナ(魚のポーズ)やシールシャーサナ(頭立ちのポーズ)をすると、稀に回旋している方を見かけます。これは骨盤の歪みで、左右非対称の捻じれが起きているということです。

 

話を戻します。
内転筋(1)で述べましたが、内転筋は骨盤の前面「恥骨」と背面にある「坐骨」から始まり、太もも内側の大腿骨まで付着しています。
つまり、前後から骨盤を支えているんですね。内転筋を使うと、骨盤の底で内臓を支える骨盤底筋(群)の働きをもサポートすることになります。

ちなみに骨盤底筋の役割は、

 

 

  • 内臓を支える
     
  • 排尿・排便・月経のコントロール
     
  • 天然のコルセット

 

 

骨盤底筋

 

 

この角度から見るとよくわかりますが、骨盤底筋は「ハンモック」とたとえられます。

骨盤の下部、内臓をしっかりと支えているんですね。

尚、ヨガではムーラバンダに相当する筋肉でしょう。

 

この骨盤底筋をさらに下から支えているのが内転筋なんですね。

まさに縁の下の力持ち。

 

骨盤底筋に関しては、また別の機会に解剖します。

 

 

 

 

世の女性の内転筋事情

 

ここで、内転筋が使えていない女性の声として、

「太ももが太い」

「外側に張っている」

「内側がぷよぷよ」

などありますが、そんな女性たちに見受けられる姿勢がこれです。

 

 

内転筋

 

 

内股・O脚ですね。
これでヒールを履こうものなら、腰が落ちてとても不格好です。

このような不良姿勢が続き内転筋が縮んでいくと、内転筋が本来の位置より短縮してしまいます。

 

 

 

内転筋が短縮すると起こる弊害

さて、内転筋が短縮するとどのような問題が生じるのでしょうか?まずは、内転筋の拮抗筋である中臀筋を見てみましょう。赤い筋肉部です。

 

 

中殿筋

 

 

この中臀筋が正常位置より下方に引き伸ばされてしまうと、お尻全体がプリッとしたハリを失います。代わりにべちゃっと横広がりしてしまいます。

内転筋(1)で生徒Hさんが訴えた状態ですね。内転筋短縮による中臀筋の筋力不足です。身体って繋がっているんですね。(補足として、この中臀筋の筋力不足を補う形で大腿筋膜張筋が緊張することにより、O脚になるんですね。)

 

 

ガイコツくんを使っての解説はここまで。
それでは、内転筋(1)で示した「ウッティタ・ハスタ・パーダングシュターサナ」に続いて、以下のポーズで意識すべき内転筋を考察していきましょう。

 

 

 

 

 

セツバンダーサナを解剖する

 

赤いラインと土台となる青●に注目して考察しましょう。

 

 

セートゥ・バンダーサナ

【名称】
Setu Bandhasana
セツ・バンダーサナ
橋のポーズ

 

 

 

土台は母指球にある

内転筋(1)でも述べたとおり、内転筋を使うために母指球とかかとでマットを捉えてください。つまり内重心を作ります。

これができないと、外側縁(小指のへり側)に重心が乗ってしまう外重心になります。すると、大腿筋膜張筋(太もも外側)が緊張し、股関節の外旋を助長させます。これでは「もっとO脚になってください!」と言わんばかりの残念ポーズになってしまいます。

 

以前お会いしたアシュタンガヨガのチャック・ミラー先生は

 

小指球(小指側)の下に

うずらの卵があると思いなさい

それを割らないようにマットを押す

 

と仰いました。いいたとえですね。

 

 

 

収縮する筋肉と伸展する筋肉

【 収縮 】

主に身体の背面側が縮む役割を担います。今回は内転筋にフォーカスしているので下肢の収縮は・・・

ハムストリング(太ももの裏側)
大内転筋群(内もも)
大臀筋の内側繊維(お尻)
前脛骨筋(すね)
広筋等

 

 

【 伸展 】

主に身体の前面側が伸びる役割を担います。下肢に着目しましょう。

大腿直筋(太ももの前側)
大腰筋(足の付け根~お腹)
腸骨筋(お腹)

 

 

 

結局はバランスよく使うのが大事

さて、以下のヨガ解剖学の本には注意点としてこう書いてあります。

 

大臀筋が働くと脚が外旋し、それ以外の内転筋が働くと両膝が近づき、股関節も屈曲します。

 

引用元:レスリー・カミノフ著
「最強のヨガレッスン」P159

 

いったいなにが言いたいんでしょうか(笑)
これじゃちょっと解剖学をかじったくらいのヨガインストラクターじゃわからないよ(笑)

簡単にいうと、

 

お尻を締めすぎると股関節が外に開いて、ガニ股になっちゃいます。
こんな風に。

 

 

セートゥ・バンダーサナ

 

 

でも内ももを使いすぎると膝が閉じて、股関節に十分な伸びが感じられません。

 

つまり、

 

お尻(中臀筋)と太もも(内転筋)は

綱引き(拮抗)しているので

バランスよく使ってください

 

ってことなんですね。こんな風に。

 

 

セートゥ・バンダーサナ

 

 

セツバンダーサナは

お尻を上げるポーズでなく

背面を縮めて前面を伸ばす

ポーズなんですね。

 

 

今回は、基本の仰臥位逆転ポーズの「セートゥ・バンダーサナ」で内転筋を意識してみました。また内転筋の拮抗筋である中臀筋も一緒に学べましたね。この二つの筋バランスを意識して練習に励んでください。

次回は、「ウールドヴァダヌラーサナ」で応用していきます。

 

【ヨガ解剖学】内転筋(3) ウールドヴァダヌラーサナ・ブリッジができない人はココが弱い

 

om shanti,