長岡・小千谷・柏崎のヨガ教室
&RYT200資格スクール yogatha(ヨガッサ)
ヨガインストラクターで理学療法士のMieです。
@yogathajp
8月のヨガ解剖学ブログ 柔らかく安定した土台をつくる足の冷えとり で、足の解剖に触れました。今回は、子どもの足についてのお話しです。
人間の足
動物の中で常に2本足で立って動くのは人間だけです。
他の動物が体重を4本の足で分散させて支えているのに対して、人間は半分の2本で支えているため、土台となる足はとても大切です。
土台がぐらつけば家がすぐに壊れるのは言うまでもありません。土台である足がだめになれば、その上の体にも問題が生じます。
人間は、二足歩行を獲得する進化の過程で、骨格もそれに対応できるように進化してきました。
二足歩行に対応するために進化した骨格のうち、背骨のS字カーブと足のアーチは、特に重要です。
足のアーチ
足の裏には3本のアーチがあります。いわゆる土踏まずです。
ヨーギーであるみなさんは、タダーサナの時、
「足の親指のつけね、小指のつけね、かかとの3点を意識して。」
というガイダンスを良く受けるはずです。
この3点を結ぶと、足の3本のアーチと合致します。3本のアーチは、重い体重を分散し、足に負担をかけないようにする役割があります。
そして、歩く時にバネとして働き、床との衝撃を吸収したり、蹴り出す力を高める役割を持っています。
さらに、歩くことでアーチは押され、重力の影響で下にたまって滞りやすくなった足の血液を、ポンプのように心臓へ押し上げる役割も持っています。
また、この3点には、
「体が前に傾いている」
「滑りやすい」
「デコボコしている」
などの外的情報を受け取り、脳に伝えるメカノレセプターと呼ばれる感覚器官が多数存在します。
メカノレセプターは体の色々な部分に存在しますが、特にこの3点に非常に多く集まっています。
脳は、メカノレセプターから受け取った情報と、目など他の感覚器官からの様々な情報を統合し、状況に合った動きを選び、各筋肉に指令を出して姿勢を保ちます。
メカノレセプターがしっかり機能していれば、目を閉じても転びません。
子どもの足と発達
アーチの基本設計は骨です。
そして、子どもの骨はとても柔らかです。
赤ちゃんの足の骨は軟骨の状態で、歩き始めの1歳くらいでもまだ軟骨状態です。そして、足のアーチもまだ見られません。
歩くことが活発になり、足を使うことが多くなる3~4歳頃からアーチは発達しはじめ、成長に伴って骨も4歳にはきちんと骨化されます。
しかし、1つ1つの骨が小さく、隙間が大きいので、まだまだ非常に柔らかです。
歩いたり走ったり飛んだりという運動機能がほぼできあがる6~7歳頃には、大人と同じようなアーチに近づきます。
しかし、思春期が終わって成長が止まるまで、子どもの骨は柔らかい状態が続きます。
柔らかいということは、非常に変形しやすいということです。(詳しくは 子どもの骨格・骨盤はゆがみやすい!参照)
変形したまま成長を終えて大人になると、その変形は修正不可能なものになります。
土台である足の変形は、足そのもののトラブルだけでなく、その上の体にもトラブルを引き起こす原因となります!
足の筋肉
足の筋肉は13種類もあり、基本設計である骨を補強しています。
アーチのある足の裏には、そのうちの11種類の筋肉が4層にも分かれてついています。
現代の子どもは日常生活で体を動かす機会が激減しています。
普段の日常生活でしっかり歩いたり体を動かさないと、骨は丈夫にならず、アーチを築く足の裏の筋肉は発達しません。メカノレセプターも活性化しません。
そして、筋肉とメカノレセプターは、使っていないと弱化します。アーチも崩れます。
つまり、親御さんは子どもの足に対して、十分に注意を向ける必要があるのです。
あなたのお子さんの足は大丈夫でしょうか?
子どもの足にまつわる
私の子育ての反省
子どもたちが小さな頃、休みの日は朝から晩まで外でも裸足でたくさん遊ばせ、家に帰ってからは足のマッサージや足指体操を一緒に遊びながら熱心にしたものです。
忙しいなりに、一生懸命子どもの足に注意を向けたつもりでしたが、私の子どもたちの足は、良い足とはいえません。
下の子どもは、16歳の思春期真っ最中でまだ骨が柔らかいはずなので、足を修正できる可能性は高いのですが、思春期の子どもは親の言うことなど聞きません。
何がいけなかったのでしょうか・・・?
日本とドイツの足に関する意識の違い
自身の子育てにおいては時すでに遅しなのですが、改めて子どもの足について勉強し直し始めたつい先日のこと。
ドイツでは、1970年代から子どもの足を子ども手帳で国が管理していることを知りました。
疲れにくい、歩きやすい、足にトラブルが出ないということは、ドイツの靴選びでは当たり前のことで、靴にお金をかける文化があるそうです。
足に合った靴を診る、整形外科靴マイスターという国家資格まであります。
おしゃれで靴を選んで痛みを我慢して履いたり、お下がりをボロボロになるまで大切に履いたりする日本とはずいぶん違いますね。
ドイツは足だけでなく健康に対する意識が高い世界有数の国だそうです。
25年前に、ドイツに3週間短期遊学しました私も全く知りませんでした。(だって大人はみんなビールだけじゃなくてワインもがぶがぶ飲んでたし・・・。)
その頃のアルバムを開いてみると、足に関することで思い出したことがあります。
当時の日本にはなかった、現在の大手スポーツショップのようなお店が田舎でもたくさんあったこと。
スニーカーやスポーツシューズ、ビルケンシュトックの様々なデザインのサンダルが、店内の壁一面に並べられていたことです。(ビルケンは足のアーチを考慮した中敷きで有名。高価だが、医療従事者で愛用している人も多い。)
ドイツヴェパータール市の世界最古の空中鉄道
ケルン大聖堂
さらに、驚くべき事実を知りました。
25年経った今でも、
日本人の95%は、
足が変形しやすく、機能低下する靴を履いています!
子どもの靴選びの重要性
足に合わない靴を履いたり、履き方が正しくないことで、柔らかい子どもの足は変形したり機能が低下してしまうことがあります。
ここまでお読みくださったみなさんは、理解できますね。
靴は、一生の足を変形しないように守るためのものです。
個人差はありますが、3歳頃までの子どもの足は1年に約2㎝、4歳以降の子どもの足は1年に約1㎝のペースで成長します。1歳から6歳までは、毎月、小学生では学期ごとに足の成長に合わせて靴のサイズ確認をする必要があるそうです。
私は、子どもの靴の重要性を感じていたつもりだったので、某スポーツショップで足形をとってもらったりはしていました。しかし、靴のサイズ確認はそこまで頻回に行っていませんでした。
「ママー、あしがいたいよー」
「おくつ、やぶけたー!」
と言われてから、慌てて靴を買いに行ったことも一度ではありません・・・。
私の子どもたちの足が良い足でないのは、靴に対する私の勉強不足、注意不足からくるものだったのです。
子どもの足の成長を大人が知ることが大切なのですね。
また、別の反省もあります。
私は、日々の忙しさを理由に、自分の足や靴を大切にしていなかったように思います。
私の足は外反母趾でひどい足です。(ヨガをはじめて少しづつ良くなってきています。足の裏の筋肉をしっかり使うことの大切さを痛感。)
子どもは、親の姿をよく見ています。
親が、自分の足を大切にケアし、足と同じように靴を大切に扱って丁寧に履いたり、メンテナンスする姿を見せる必要があったと思います。
これが子どもの足を育てる第一歩だったのではないでしょうか?
足育!~良い足の育て方~
子どもの足を適切に育むために、自身の子育ての反省と、文献を参考にしたまとめを記します。
足を養い、守り、育てる
|
【 足を育てる 】□ 裸足になって筋肉を鍛える □ よく外で遊ばせる、歩かせる |
【 足を守る 】□ 子どもの足によく触れ、よく見る □ 子どもの立ち姿勢や歩き方をよく見る □ きつい靴下、脱げやすい靴下は避ける □ 爪はスクエアオフカット、切りすぎない □ 1歳~6歳は毎月、小学生は学期ごとにサイズ確認 |
【 靴選びの7か条 】□ 必ず試し履きをする □ ベルトで靴幅のフィットが調整できる靴を選ぶ □ 靴底に適度な厚みがあり衝撃を吸収、滑りにくいものを選ぶ □ かかとの骨を支えるために芯がある靴を選ぶ □ 部活など高頻度で運動をする時こそ慎重に選ぶ □ 気になることは専門家に相談する □ シューフィッターのいるお店を活用するのも良い |
【子どもへの足・靴教育】□ 自分で靴を履きたがったら積極的に履かせる □ 正しい紐の結び方を身につけさせる □ 汚れた靴をきれいにする習慣を身につけさせる □ 思春期までに足、靴選び、メンテナンス知識を伝授 |
【親の心がけ】□ 親自ら、自分の足や靴をよく観察 |
12月 おやこヨガのご案内
最後に、このブログを踏まえた親子ヨガクラスを12月に開催します。
親子で楽しく足裏を使う遊びや、道具を使ったゲーム、足の良いアーチを築くヨガのポーズをたくさん行います。
また、足の構造や成長について、クイズ形式で楽しく学びましょう。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
〈参考文献〉
1)松本美佳,Child Care Text Book,日本アロマコーディネーター協会チャイルド・ケア本部,2000
2)Web:【足育先生コラム】,閲覧日2021-9-11
3)Web:Dr.Inokuchiの健康講座第13回幼児に起きやすい足の病気と対策(歩き始め~幼稚園),閲覧日2021-9-11
4)武藤芳照,玉島麻理,小野直洋,高山かおる,0歳からの足育のすすめ,論創社,2020
Writer |
ヨガインストラクター Mie |
「からだの地図クラス」は、初心者でも取り組みやすいアーサナ中心の構成を心がけています。ひとつのアーサナにじっくりと向き合い、その人にあった安全でより快適な方法を提案します。
|