子ども 親子

ヨガの教えは家庭から!思春期の子育てに使えるヨーガ・スートラ


長岡・小千谷・柏崎のヨガ教室
&RYT200資格スクール yogatha(ヨガッサ)
ヨガインストラクターで理学療法士のMieです
 @yogathajp

 

緑の美しい時期になりましたね。
みなさま、いかがおすごしでしょうか?

 

四季折々の変化がある美しい日本。
日本特有の季節の変化に合わせて、ヨガで体と心を整え、美しいこの季節を爽やかに過ごしたいものです。

 

さて、私の近況ですが、毎日バタバタと忙しく過ごしています。爽やかとは程遠いかも・・・。

そんな慌ただしい日々ではありますが、自身のヨガの学びを深めるべく、時間を死守して受講する週1回のアーサナクラスと、月2回のヨガ哲学クラスが、楽しみでしかたがありません!!

 

「忙しいのによく勉強するね・・・」と、あきれ顔の子どもたち。

我が家の2人の子どもたちは、思春期真っ只中、そして思春期を終えたばかりの年齢です。

 

今日は、決して一筋縄ではいかない子育て、特に

「思春期の子育てに、ヨガの智慧(哲学)を活かす方法」

を考えてみました。

 

 

思春期 子育て 子ども

 

 

この記事はこんな方におすすめ!
  • 子育て中の方
  • 子どもが思春期、反抗期で手を焼いている
  • ヨガの哲学に興味がある
子育てにヨガ?!
子ども 親子
 

 

 

【 もくじ 】※リンクつき

 1. ヨガってなに?

 2. 思春期の心のはたらき

 3. ヨガの教えは家庭から!
  子育てに使えるヨーガ・スートラ

   ヨーガ・スートラを知っていますか?
   ヤマ:アステーヤを用いた子どもたちとの会話
   アステーヤがもたらす心の落ち着きと家族の調和

 4. 思春期の子どもと親・家庭の役割

   他者との関係性構築は親子関係・家庭が基礎に
   思春期の子どものために親ができること

 5. ワークショップのご案内

 

 

 

 

1. ヨガってなに?

 

ヨガ 合掌 瞑想

 

ヨガとは、心の動きを収めることです。

ヨーギーが学ぶ聖典ヴェーダーンタでは、人生において我が身、あるいはこの世に起きるすべての事柄は、良いことも悪いことも、秩序のもとに起こるべくして起こっていると教えています。

一見、悪いことに思える事柄も、実は秩序のもとに調和の中で必然的に起こっているのです。

 

人生は予測もしない事柄の連続。

そのすべてに対し、心を乱されない、必要以上に心を動かされないための教えがヨガです。

 

 

 

 

 

2.思春期の心のはたらき

 

思春期 子育て 子ども

 

思春期は、急激に発達する体の変化や、めまぐるしい環境の変化(入学や卒業、クラス替えなども含む)といった、成長に伴うストレスに必然的にさらされる時期です。

そして、今まで全面的に信頼していた親からの自立を望み、家庭の外で親以外の他者との関わりを求めていきます。

求めている他者との関わりの中で、我が身に起きるすべての事柄は苦悩であり、また、心を躍らせるものではないでしょうか?

まるで、心の動きを収めることとは程遠く、常に心が乱されているように思えます。

 

子どもが急にしゃべらなくなり、何を考えているのかわからない、何を言っても反発する・・・など、親にとっても、乱されている心に手を差し伸べることすらままならない、悩ましい時期です。

 

そんな思春期の子育てに、

ヨガの教えが活かせるのでしょうか?

 

 

 

 

3. ヨガの教えは家庭から!
子育てに使えるヨーガ・スートラ

 

「ヨーガ・スートラ」を知っていますか?

ヨーガスートラ 本 ヨガ哲学

 

今から1500年以上も昔。

パタンジャリ先生は、ヨガの段階的な実践方法を「ヨーガ・スートラ」としてまとめてくださりました。

 

その一段階目であるヤマとは、

 

避けるべきことや、
他者との関わり方で気をつけるべきことを示し

ヨガの本来の目的を知り、
ヨガの練習をしていくにあたって、

とても大切な基礎中の基礎訓練にあたります。

 

 

ヤマのひとつにアステーヤという教えがあります。

アステーヤは「盗まない」という道徳的価値観。

 

ものやお金など目に見えるものを、盗んではいけないことは、幼い子でも理解しやすいですね。

目に見えないものも、実は、他者との関わりの中では、盗んだり盗まれたりすることが起こりがちです。

 

目に見えないものってなんでしょうか?

 

 

 

ヤマ:アステーヤを用いた
思春期の子どもたちとの会話

子ども 親子

 

ある日のこと。
娘がひどくふさぎ込んでいます。

以下は、先日子どもたちとの会話のなかで、ヨーガ・スートラのアステーヤを用いたときのことです。ヨガの教えを日常や子育てで、どう活かすか?のヒントとなりますように。

 

 

登場人物
母:Mie
息子:タロウ
既になにかを悟っているような大人びた子。
思春期を終えたばかりの20歳。
現在、就活中で心が乱れ気味。
娘:ハナ
いつもニコニコ家族の癒しの存在。JK17歳。
外では笑顔、家では心が乱れ、家族を振り回す傾向。

 

 

【場面】
夕飯の食卓。
娘、浮かない表情で一言も話さない。

 

タロウ:どうしたの?

ハナ:・・・(無言)

タロウ:無視かよ。

母:ハナ、黙っていたらわからないよ。タロウも心配なのはわかるけど怒らないで。みんなの楽しい夕飯の時間だよ。

 

ハナ:・・・今日帰りに、隣の席の子に数学のノート貸して、って言われたんだけど・・・。あさってから試験だし、その子、授業中にノートとらないで寝てたから、嫌だな、って思って。

私、このノートないと勉強できないからごめんね、貸せないのって言ったら、じゃあ今教えて!って言われたの。

 

母:うんうん。(早く話せとばかりにキレそうなタロウを目で制し、次の言葉を待つ)

 

ハナ:私も余裕ないから、すぐ家に帰って勉強したいんだ、ごめんね、って言ったの。そしたら、頭いいくせに、けちなんだね、ってクラス中に聞こえるような声で言われた。私、けちなのかな?心が狭いのかな?

 

タロウ:なんだ、それ(怒)気にするなよ。

 

ハナ:クラス中が私のこと見たし、気にするよ。他のクラスにも広まったらどうしよう。みんなにけちって思われるかな?明日学校行くの嫌だな。

 

母:アステーヤっていうのを、この前ヨガの勉強でしたんだけどさ。アステーヤは直訳すると盗まない・奪わないってことだけど。

 

ハナ:なにそれ?全然関係ないじゃん(キリッ)

 

タロウ:いや、そいつはハナが頑張って勉強したノートを奪おうとしたってことさ。あと、ハナの勉強の時間も奪おうとしたな。
そうでしょ?母さん。

 

母:そういうこと!
人の努力や時間を奪うことはアステーヤに反します。ちなみにタロウも、早く話せって急かしたけど、ハナがどうやって話そうか一生懸命考えている時間を奪ったことになるよ。

 

タロウ:じゃあ、さっきまでハナが黙っていた時間もアステーヤに反するよ。みんなの楽しい時間を奪った。

 

ハナ:・・・ごめん。

 

母:お金やものを盗んじゃいけないのと同じように、時間や努力も奪っちゃいけないこと、してはいけないことなんだよ。だからハナはケチでもないし、心が狭いわけでもない。

 

ハナ:でも、みんなにどう思われたか気になるよ。

 

母:そうだね。でも、いつまでも気にしていると、今度は楽しい時間までその子に奪われちゃうことになるよ。

 

ハナ:そっか。

 

母:他にも、自分がアステーヤに反しているなって思うことある?

 

ハナ:部活に遅刻するとか?私は、絶対しないように気をつけている。

 

母:そうだね。遅刻は人の大切な時間を奪うよね。授業に遅刻するのも、一見自分だけが怒られるように思えるけど、授業に集中しているみんなの時間を奪うからだめだって、母さん、いつも言うよね。

 

タロウ:この前、はさみを使ったけど、いつもの場所にすぐ戻さなかった。母さんが探す時間と労力を奪いました。ごめんなさい。

 

母:素直でよろしい。時間とか努力や労力だけじゃなくて、場所や空間も盗んじゃいけないんだよ。 

 

ハナ:この前、洗面所にタロウの整髪料がたくさん置きっぱなしになっていて、手洗いうがいがやりづらかった。みんなの場所を奪っていたと思う。

 

タロウ:すまん!おわびにこのおかずをあげる。(と、ハナのお皿に移す)

 

母:相手が望んでいないのに先回りして与えるのも、ハナが考えて決めることを奪うからアステーヤに反するよ。

 

ハナ:食べる~。(やっとニコニコ) 

 

 

いかがでしたでしょうか。
一部フィクションありです~。

 

 

 

アステーヤがもたらす
心の落ち着きと家族の調和

子ども 家族

 

ヤマの教えのひとつ、アステーヤは、目に見えるお金やものだけでなく、目には見えない人の時間や努力・労力、場所や空間でさえもむやみに奪ってはいけない、盗んではいけないという教えです。

「隣の席の子」のような子どもたちだけではなく、大人である私たちも、他者との関わりの中で、知らず知らずのうちに教えに反していることが多いかもしれません。

 

また、大人も子どもも、大切なものを奪われたり盗まれないように、注意を払いながら生活をしているはずです。

娘は、お金やものと同じように、自分の大切な時間や努力を奪われないように行動した結果、しゃべりたくないほど落ち込んでしまいました。何も奪われてはいないのに、ひどく心を乱されてしまったのです。

 

きっと親からの自立を望む思春期の娘は、親である母さんのもとには、帰りたくなかったことでしょう。

でも、そこに帰るしかすべはなかったのです。

 

娘にとって、離れていきたいと願っている場所、帰りたくないと思っている場所は、かつての心のよりどころ、最も安心できた場所でした。

その場所で、母さんが、辛抱強く、あたたかく話を引き出してくれた。

 

大人に近づきつつもまだまだ心を乱される息子も、素直に謝ったり、おかずをわけてくれた(笑)。

 

そのひとうひとつが、そしてアステーヤを通じた家族の会話が、一時的ではあるにせよ、娘の乱された心に落ち着きを取り戻してくれたようです。

 

 

 

 

4. 思春期の子どもと親・家庭の役割

 

他者との関係性構築は
親子関係・家庭環境が基礎になる

子ども 親子

 

ヨガの学びをはじめたばかりの私ですが、自身の子育てを通じ、思春期についてこう思うようになりました。

 

思春期は、ヨガの教えから、かけ離れた時期ではけしてない。

心を乱されることで、他者との関わり方を学んでいる大切な時期である。

 

 

私たちは、ひとりではけして生きていくことはできません。生きている以上は、他者と関わらざるをえません。

社会の中で、お互いができるだけ気持ちよく過ごすために、他者との関わりで気をつけるべきこと。それがヤマです。(今回はアステーヤを取り上げましたが、他にもはあります。)

 

子どもにとって、最も身近な社会は家庭であり、身近な他者は家族。

家庭内で親や家族と、お互いができるだけ気持ちよく過ごすことを学ぶのは、家庭の外での他者との関わり方の基礎となります。

 

しかし、思春期になり社会が広がると、家庭で学んだ基礎が家庭の外ですんなり通用することはほとんどなくなります。

基礎は破壊され、挫折や試行錯誤を繰り返しながら、子ども自身の力で、より良い他者との関わり方を新しく創りあげなければなりません。

 

思春期の子どもにとって、成長に必要なその破壊・創造には、強い苦しみや悲しみ、痛みを伴います。心が乱されるのです。

家庭は、もはや心のよりどころ、安心できる場所ではありません。

親は、直接手を差し伸べることも、もうできません。

 

 

 

思春期の子どものために親ができること

子ども 親子

 

では、家庭は、他に帰る場所がないから仕方なく帰る場所でしかないのでしょうか?

親は、苦しむ子どもをただ見ていることしかできないのでしょうか?

 

 

私の答えは、「いいえ」。

 

家庭は、一時的ではあっても、乱された心を癒やす、休息の場所、充電の場所として創りなおすことができます。

親は、子どもが幼いときのように手がかからなくなった分、成長に応じて目や心を使って気遣うことができます。

 

「さんざん、心を乱されれば良い。それは、子どものこれからの人生にとって必要な学びになっているはずだから。」と、

どっしりと構えながらも、子どもが助け求めたとき、必要なときを見逃さずに、すぐに手を差し伸べることができるはずです。

 

それが、私が考える思春期の子どもにとっての親と家庭の新しい役割です。



子どもは生まれながらにして本当に素晴らしいものです。

彼らは純粋であり、思春期の子どもでさえも、もしかしたら私たち大人よりもヨガの教えをすんなりと受け入れる、理解することができるのかもしれないと思う今日この頃。

 

子どもたちにも、ヨガの教えを。

いや、大人が子どもと一緒にヨガの学びを、子育てを通じてヨガの学びを、でしょうか?

 

これは私の今後のライフワークとなりそうです。

 

 

 

 

5. さいごに・・・
ワークショップのご案内

 

さて、6月26日(日)には、「YOGAとウィメンズヘルス 後編」のワークショップが控えています。

 

【ワークショップ】4/24・6/26 YOGAとウィメンズヘルス~女性の一生と正しい知識~ 前編・後編

 

前編では、妊娠・出産といった「子どもを育てる」ことにも大きく関わる女性の骨盤や生殖器、そして骨盤底筋群、ムーラバンダについて取り上げました。

後編では、加齢に伴う女性の体と心の変化について学び、更年期・更年期以降をどう迎え入れ、どう乗り切るかを考えていきます。

 

思春期は、急激に発達する体や、めまぐるしい環境の変化に伴い、心を強く乱される時期ですが、更年期以降の女性は、ゆらぎながら変化する体と、環境の変化に伴い、心が乱される時期です。

 

女性ホルモンや自律神経とヨガの関係を、科学的に。

しかしやさしく学び、ヨガでできることはないかをみんなで考えていきます。

みなさんのご参加を心よりお待ちしています。

 

 

 

Writer

 

理学療法士 ヨガ解剖学 Mie

ヨガインストラクター
理学療法士

Mie

「からだの地図クラス」は、初心者でも取り組みやすいアーサナ中心の構成を心がけています。ひとつのアーサナにじっくりと向き合い、その人にあった安全でより快適な方法を提案します。

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