長岡・小千谷・柏崎のヨガ教室
&RYT200資格スクール yogatha(ヨガッサ)
ヨガインストラクターで理学療法士のMieです。
@yogathajp
みなさん、こんにちは!
10月、神無月。
全国の神様は、出雲大社に会議(神議かむはかり、かみはかり)のために出向かれるため、出雲の地以外には神様は不在ということになります。(神様が集まる出雲では神在月かみありづきといわれます)
幼い頃の私は、「神様がそばにいない。」ということがとても不安で、毎日神棚に向かって「神様、早く帰ってきてください。」と手を合わせていたものでした。
みなさんも、神社や神棚に向かって、手を合わせるときのことを想像してください。
合掌です。
軸ってなに?
合掌しましょう!といわれれば、私たちは自然と自分の体の真ん中あたりで手を合わせますよね?
この、自分の体の真ん中を上下にまっすぐ貫く1本のラインを「軸」といいます。
私たちの体は、
軸を中心に左右対称に存在しています。
武道においては丹田を通る正中軸、バレエやダンスではセンターと呼ばれています。
ヨガではスシュムナー・ナーディ、チャクラのラインと合致します。
軸は、実際に目で見たり、触ったりできるものではありません。しかし、私たちは合掌するときのように、
無意識でも 自分の体の「なんとなく真ん中」を感じ取れています。
どうして感じ取れるのでしょうか?
成長と正中の獲得
赤ちゃん、子どもの
身体的発達プロセスとは?
私たちは、成長の過程で「自分の体の真ん中がどこにあるのか」という感覚、「正中感覚」を獲得します。
赤ちゃんは、まだ首のすわらない2ヶ月頃から、大好きな人(お父さんやお母さん、家族やお世話してくれる人達)の顔と声を、心地よいもの、として感じます。つまり心を動かします。
心が動き始めた赤ちゃんは、大好きな人の顔と声を求めて、一生懸命に頭や手足、つまり体を動かします。
心と体の動きによって、生まれつき備わっている反射から自由になり、赤ちゃんの顔=頭が正中をとらえていきます。
(非対称性緊張性頸反射;仰向けに寝た姿勢で顔を一方向に向けると向いた方側の手足が伸びて反対側が曲がる)
首のすわりは、重い頭を重力に抗してバランスをとりながら、正中をとらえられるようになった証です。そして、
左右対称の動きである寝返りを獲得
↓
重力に抗して正中をとらえて座位を獲得
↓
左右対称の動きであるハイハイを獲得
↓
両手の支持なしに重い頭を高い位置で支えながら、重力に抗して複雑にバランスをとり、正中をとらえて立位を獲得
↓
高度な左右対称の動作である歩行を獲得
と発達していきます。
このように、
私たちは適切な時期に心と体をたくさん動かして、
重力に抗してバランスをとる経験を繰り返します。
そうして、正中=真ん中をとらえて
姿勢や動きを獲得していくのです。
これが、無意識でも自分の体の真ん中を感じ取れる理由です。
理学療法士目線で見る
赤ちゃんへの接し方で気をつけたいこと
もしも、赤ちゃんの心や体の準備が十分に整わない早期、たとえば首がすわらないうちから縦抱きをしたらどうなるでしょうか?
腰がすわらないうちからグッズを使って長時間座らせたり、自分で立とうとしないうちからサークルに入れて立たせたりしたら?
生まれつきの特性は抜きにして、正しい正中を獲得できないことは容易に想像できます。
(注;大人が子どもをよく見て、適切な時期に適切な環境を提供してあげたとしても、原因不明かつ突発的に側弯などの正中から逸脱した病気や成長障害が起きることもあります。)
では次に、無意識で感じている「なんとなく真ん中」は、本当に真ん中なのでしょうか?
抗重力活動とは?
重力に抗してバランスをとり、姿勢を保持することを、抗重力活動といいます。私たちは、地球上にいる限り、眠っているときですらこの活動を行っています。
人は、高度な神経システムを駆使し、目や三半規管、皮膚、筋肉などの各感覚器官から得た情報を処理しています。
そして、処理した情報をもとに、反射あるいは脳からの指令で、姿勢保持のために必要な筋肉を収縮させ、頭や手足など各骨の位置を調整しています。(脳卒中などで脳がダメージを受けると、この神経システムが障害されるため、リハビリでシステムの再構築を行います。)
この筋肉の収縮を伴う一連のメカニズムが、抗重力活動です。
赤ちゃんの発達は、心と体の成長とともに、この抗重力活動を獲得していくものです。
そして、重力に抗して姿勢を保持するための筋肉を、抗重力筋と呼びます。
抗重力筋がバランス良く協調して働くことで、必要最低限の努力で効率良く重力に抗して動くことができます。
生活習慣やスポーツ、仕事で幾度となく繰り返される姿勢や動きによって、赤ちゃんだけではなく、私たちもいとも簡単に正しい正中から逸脱してしまいます。
大人である私たち以上に、成長期の体が柔軟な子どもはさらに大きく逸脱しやすいです。
正しい正中が獲得できず大きく逸脱すると、抗重力筋のバランスが崩れ、特定の筋肉が力んだり、こわばったり、反対に弱くなったりします。
これにより、痛みやけが、将来的には変形につながります。
軸を感じる
では、正しい正中を再獲得して姿勢を保持したり、動けるようになるためにはどうしたらよいのでしょう?
弱くなった部分の抗重力筋だけを鍛えても、痛みやけがのない体を作ることにはつながりません。(老化現象に伴う高齢者の筋力低下においては、単一の抗重力筋を鍛えることで、効果が期待できることがあります。)
独楽で気づく!軸を感じるとは?
みなさんは、厚紙と棒で独楽を作ったことがありますか?
私は、小学校の図工の時間に作った記憶があります。
棒がなんとなく、ではなく正しい真ん中にないと独楽はうまく回りません。本当の真ん中を見つけるのに試行錯誤したものです。
私たちの体も、うまく動かすためには、まっすぐな真ん中の棒=軸が必要です。
目で見たり触ったりできない軸は、
意識をして感じ、
扱っていくもの。
正しい正中を感じるためには、正しい正中を逸脱して、力んだり、こわばってしまっている筋肉を、ある程度リラックスさせる必要があります。
ある程度力みが取れてリラックスできると、正しい正中=体の本当の真ん中=軸を感じやすくなります。
軸を支えるインナーユニット
軸のまわりにある筋肉は、インナーユニットと呼ばれ、独立して働くのではなく、すべてつながりを持ち、連動しています。
繊細に感じ、少しづつ正しく働かせていくことで、効率よく働く仕組みになっています。
軸のまわりにある筋肉が働くと、さらに力みやこわばりから解放され、ますます軸を感じやすくなります。
結果、抗重力筋のバランスは改善し、効率よく姿勢を保持したり、動けるようになる。
痛みやけが、変形さえも防ぐことにつながるのです!
軸を獲得するのに効果的なヨガ!
力みやこわばりをとる方法として、正しいストレッチエクササイズやリラクゼーション、そしてヨガは効果的です。
ヨーギーである私たちは、ヨガのクラス中に、毎回意識をして力みやこわばりをとり、軸を感じる練習をしています。
それはまさしく、タダーサナ。
タダーサナは、動きの前の姿勢、ヨガにおけるすべての立位の基本となるポーズです。
どこも力まず、かためず、正しい真ん中=軸を意識しながら、必要最小限の力で姿勢を保持する練習になります。(「ゼロからはじめる解剖学」WSでは最も多くの時間を費やして説明とworkを行いました!それだけ大切なポーズ。)
からだの地図とハタヨガクラス
10月の「からだの地図」クラスでは、まず、私たちが成長の過程で重力に抗して正中をどのように獲得していったのかを体感していきます。
そして、複雑なバランスを必要とする立位での正しい軸の再獲得につなげていきます。
体が力んでいたりこわばっていたりすると、心にも余裕がなくなります。
真ん中に、どっしりとしたぶれない軸があれば、体と心が落ち着き、安定しますよ!
実りの秋。
大地の恵みに感謝をする、「いただきます。」の合掌も、いつもより体の真ん中を意識してみてはいかがでしょうか?
Writer |
ヨガインストラクター Mie |
「からだの地図クラス」は、初心者でも取り組みやすいアーサナ中心の構成を心がけています。ひとつのアーサナにじっくりと向き合い、その人にあった安全でより快適な方法を提案します。 |